Treo750で音楽?

かつては私も、PalmWindowsCEバイスで音楽を楽しんでいました。出張には威力を発揮し、新幹線の中、ホテルの部屋で、いつもお気に入りの音楽を流していました。
Palmでの音楽環境は非力でしたが、WindowsCEは強力でした。特に、『GSPlayer』はすごかった。バージョンアップして『GSPlayer2』になってからは、もう競合ソフトはないんじゃないかと思えるくらいに完璧で、『GSPlayer2』のおかげで出張の楽しみが増えたくらいです。
かつて私は、そうやってモバイル環境で音楽を楽しんでいました。
AppleiPodを購入するまでは。
iPodが、私の音楽生活を一変させました。
操作性、手軽さ、機能、そして容量。何から何まで、iPodは音楽を思いっきり楽しめるスペックとエレガントなプロダクト・デザインで、持つ楽しみ、使う喜び、それらすべてを満たしてくれる最強のモバイル・ミュージック・プレイヤーでした。
今は、iPod Classicという機種で容量80GBのモデルを使っています。所有するほとんどのミュージックコンテンツ(1万曲は軽く超えてます)とお気に入りのライブ映像をふんだんに入れていますが、まだ 40GBほどしか使っていません。恐るべしです。

では、今私が愛用しているTungstenCTreo750で音楽を楽しむことは意味のないことかというと、そうでもありません。
まず、TungstenCですが、これは事実上無理です。スピーカー音量が小さすぎます。ではイヤホンで聴けばいいのでは、ということになりますが、これがまた難しいです。TungstenCにはiPodのように画面タッチやボタン操作を制御するロック機構がありません。鞄に入れたりするといろいろと面倒なことが起こってきます。かつてウォークマンのCMでサルが両手で持って聴いていたように、手でずっと持って聴くのなら大丈夫ですが。
では、Treo750は。これはいけます。スピーカー音量は結構確保されていますし、なにより、あの懐かしの『GSPlayer2』が健在で、今もTreo750でしっかりと動いてくれます。

これが『GSPlayer2』。素晴らしいソフトです。あの頃から変わっていませんし、なによりちゃんと240スクエアの画面にぴったりフィットしてくれるその柔軟性ある仕様やソフトキーにも対応している同時代性、ますます強化された対応フォーマットは、さすがの出来映えだと思います。これがフリーウェアだというのですから、本当に作者の方の心意気には感服します。『GSPlayer』時代からお世話になっていますが、何年にもわたってメンテナンスとバージョンアップを繰り返し、変化が激しいOSの仕様も取り込み、使い手の視点に立ったアプリケーション開発。本当にすごいソフトだと思いますし、会ったことはありませんが、この作者の方は私が尊敬するクリエイターの一人といっても言い過ぎではありません。

ほかのソフトもご紹介したいですが、私が推薦できるのはこの『S2P』だけです。あとは使い勝手がなじめず、おすすめ出来るソフトが見つかりません。

このソフトは、いわゆるiPhone風のインターフェイスです。操作は楽しいですし、音楽もしっかりと再現してくれますのでおすすめです。ただ、プレイリストが作れないみたいで、そういう意味で私は常用していません。楽しくて美しいソフトなのでインストールしていますが。

さて、Treo750、あるいはPDAで音楽を楽しむということ。これは実用的なことでしょうか。
私の考えでは、NOです。
音楽ソフトを起動させると、とたんにバッテリが減り始めます。Treo750にいたっては、メール着信とバッティングして時々フリーズします。メール、特にMMSはフリーズしやすく、いったんそうなってしまうと着信したはずのMMSは消滅してしまうので読めなくなってしまい、誰から来たかもわからず、大変困るわけです。
それから、世間では『着うた』という風に音楽を利用している人が少なからずいるようですが、私のTreo750使用環境はビジネスシーンです。『着うた』どころか、音を鳴らすことさえ論外、非常識な行為なので、基本的に通常はバイブレーションモードです。

Treo750は、私にとってはあくまで電話機であり、メール機であり、ネット閲覧機です。音楽を聴いたことでバッテリが減ってしまったり、フリーズするようでは本来の使用目的に支障が出ます。

TungstenCについても同様で、PIM活用が主な目的ですので、音楽を聴くことでバッテリが減ってしまうのは困ります。

音楽は、やはりiPodが適しています。実は他メーカーのミュージックプレイヤーもいくつか使ったことはありますが、どう考えてもiPodが抜群です。私の体験上、という意味ですが。

ではなぜ、そこまでわかっているのにPDAに音楽ソフトを入れたがるのかというと、これは好きだからとしかいえません。ソフトが動くのを見るのが楽しい、とういう趣味的な部分でインストールしてしまいます。動くとうれしいですし、音が出てくるとやっぱり感動します。Treo750からストーンズツェッペリンサウンドが出てきたときは、本当に感動しました。今でも、わざわざ『GSPlayer2』でストーンズを聴きたくなるときがあります。まるで何十年も前、ラジオから好きな曲が流れてきたときに味わったドキドキ感が甦ってくるのです。

そういう喜びを与えてくれるのが、PDAのミュージックプレイヤーなのかもしれません。