PalmOSエミュレータに思う

近々発売予定のPalmPreでは、MotionAppsというサードパーティが開発している『Classic』という名称のPalmOSエミュレータが動くそうですね。

そして、すでに紹介しましたがWindows Mobile上で動くPalmOSエミュレータStyleTap

StyeTapでは日本語を使うことは出来ません。Classicでも同様じゃないかと予想されています。
それでも、旧PalmOSが動作することはとても意義深いことです。

本来は、Apple社がMacOS9からMacOSXへの移行時にやったように、自社で旧環境のエミュレータを用意し、エミュレーション環境は無償でユーザーに提供すべきことでしょう。Microsoft社も、MS-DOS環境をいまだに実装しています。
Palm社は、今まで自社を育て、支持してくれたユーザーに対して感謝の念があるなら、そうすべきだと思いますが、事はそれほど簡単ではないのは容易に察しが付きます。
『従来のユーザーへ感謝』などというヒューマニズムでは、経営が立ちゆかなくなっているのだと想像できます。
株価がアップしたと言っている人もいますが、それは大いなる誤解で、そもそも株価はいくらだったのか、そして、2008年のリーマンショック前までは、下がったとはいえいくらくらいの株価を付けていたのかを調べれば、8ドルや9ドル程度の株価に喜ぶわけにはいかないことくらい、簡単にわかることです。

現在公式にはMacOS9のエミュレータはありません。しかし非公式の、つまり、海賊版のようなエミュレータは存在します。逆に、非公式であることからわかるように、ビジネスとして成立していませんから、つまり、現実的にはニーズもないと解釈できます。強いて言うと、マニアックなニーズしかない。そこからわかることは、Apple社がいかにして従来のユーザの利便を支えながら新しい環境へとナビゲーション出来たかを物語っています。
Windows Mobile、そしてPalm Preを動かすPalm WebOSという環境でPalmOSエミュレータが『正式な商品』として流通すると言うことは、ニーズもあり、旧環境に価値があることを裏付けている証拠といえます。だのにPalm社は、他社にビジネス上の利便もリスクも負わせ、ユーザーには導入手間とコストのリスクを転嫁していると見なすことが出来ます。
Palm社の、これまでの視点の定まらない事業計画や、経営の迷走を考えれば、今回の『旧ユーザの面倒を他社に見てもらう』という情けない姿は想像出来ることですが、あまりにも無様です。
過去の資産やユーザーに新しい環境への完全移行をナビゲートしていくのかと思っていたら、過去の資産は他社に面倒を見てもらい、ユーザーにはどっちつかずの施策しか見せることが出来ないPalm社。相変わらずです。これではやはり、先が思いやられます。
素晴らしい商品を作ってきた開発者と会社運営は、一枚岩ではないということですね。
PalmOSを捨て、新しく船出しようとしているPalm社ですが、Apple社のように、過去を一切振り返らず、ユーザーにも前しか見せずに果敢に前進していくという魂は、まだまだ備わっていないようです。
もう、新しい経営陣に刷新するしかないかもしれません。